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ダイアン・M

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Posted by TI-DA at

2011年05月09日

2人の「キング」

 すっかりほこりをかぶってしまったこのブログ。今年に入り、全然映画を見ていなくてアップする機会がなかった。
 でもゼヒ見たい映画があり、GW期間中に立て続けに見てきた。

 まず最初の「キング」は。

 「英国王のスピーチ」

 5月3日憲法記念日に、サンエー那覇メインプレイすに行った。4月29日のウイリアム王子の結婚式の熱まだ冷めやらず、である。

 この映画で「ジョージ6世」を演じたコリン・ファースが見事にアカデミー主演男優賞を獲得。納得いく演技ではあったが、助演にノミネートされていたジェフリー・ラッシュもまた素晴らしかった。彼はほんとに実力のある俳優だ。彼の出る映画は彼がいることで引き締まっているように思える。

 いつも変った役をするヘレナ・ボナム・カーターも不器用な夫を上手に支え愛する妻がとても似合っていた。

 クライマックス、戦時の国民へのメッセージをラジオで流すシーン。戦時、つまり非常時である。英国王の一つ一つの丁寧なメッセージが国民に響く。今のこの日本の非常時を考える。場あたり的でなく、難しい言葉でなく、相手の立場を考えてメッセージを発すれば、政治家の言葉も国民に届くのではないかと映画を見ながら思った。

 アカデミー賞の監督賞を受賞したトム・フーパーが受賞式でこう言っていた。この映画は、彼の母親がこの芝居を見て彼に電話したそうだ。「あなたの次の作品は決まったわよ」。で、監督賞受賞。「親の言うことは聞くもんだね」。そのとおり。

 ノート:出演、ガイ・ピアーズ、マイケル・ガンボン。クレア・ブルーム、デレク・ジャコビ、

 翌4日に見たのは、「エリックを探して」

 




 エリックというマンチェスターに住む郵便配達員が主人公だが、タイトルの「エリック」はフランスのサッカー選手だったエリック・カントナのこと。サッカーファンには知れ渡る名だが、ジダンだとかベッカム、ロナウド、メッシと違い一般的にあまり知られていないのは、その実力にもかかわらず、一度もワールド・カップに出ていないからだろう。サッカーは団体競技なので、一人秀でていてもその人がいた時代にチームが弱ければしょうがないのだが、カントナのいたフランス代表チーム(90年代前半)はけっして弱くはなく、W杯で十分な活躍も期待できた。ただ、当時のフランスは勝負運に見放されていたというか、日本と同じ「ドーハの悲劇」ならぬ「パリの悲劇」を経験し、自国開催(98年)のW杯の前の大会(アメリカ、94年)には出場できていない。カントナはそのころのスーパースターである。

 エリック・カントナのサッカー選手としてのキャリアは、「ライバル」イギリス、マンチェスターユナイテッドで花開く。映画の中でもその時代のゴールのシーンが何度も出てくるが、かっこええ。カントナがマンUで活躍したのは92年から4年ほどで、そのうち約1年間はファンへの「カンフーキック」で出場停止になっている。けっこう激情しやすい性格らしく、フランスの雑誌には「破壊者」とも「難破船」とも紹介されていた。98年のワールドカップ優勝時のフランスの監督エメ・ジャケは、カントナを代表からはずしたのだが、それを電話で告げる時に「死ぬほどこわかった」と言っている。

 マンU時代にプレミアリーグの栄冠をもたらしたエリックは地元の人から「キング」と呼ばれた。主人公のエリックにとって、カントナは、崇拝する人物である。

 エリックは、家族のことで悩みを抱える中年男だ。画面を見ていても胸が痛くなるほど難儀を抱えている。エリックがため息をもらし独り言をつぶやくときに、カントナが表れて、彼にアドバイスをする。このカントナはエリックにしか見えない。

 最後はハッピーエンドなのだが、信じること、もの、人がいるというのは、その人間にどんなに大きな希望をもたらすことか。信じるものがあるというのは幸せなことだ。

 ノート:監督、ケン・ローチ

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Posted by ダイアン・M at 13:27Comments(0)感想

2010年11月11日

 風の音・・・「セラフィーヌの庭」





 見てとても得をした気分になった。好きなことを愚直にも続けていくって、大変だけど、素敵なことだと思った。
 
 家政婦をしながら、かつかつに生活しながら、「絵」を描くことに生きがいを見出していたセラフィーヌ。その構図、色彩はなにものにもとらわれない自由な精神を感じる。

 セラフィーヌ演じるヨランド・モローが森の中で、風の音を感じるときの表情がすごくいい。空を見上げたとき、木に抱きついた時の表情も。川で洗濯をしていて尿意をもよおし、走っていって緑の中で立ったまま出してしまうヨランド。その時も空を仰ぎ、なんて気持ちがいいんだろうという表情。自然の中で、体の中にあるものを出すって、あー気持ちいいだろうなあ。私ができなかったなあ。空からのぞかれているようで、出したいものがへこんでしまった思い出がある。

 話を映画に戻す。時代は第一次大戦から第二次大戦まで。彼女の才能は、ルソーを見出したといわれるウーデに出会ったことは幸運だった。神が用意していたのだろうか。最後は精神のバランスをくずして、奇怪な行動をして、精神病院にいれられてしまうセラフィーヌ。その施設の中で、余計に精神が荒廃していったのではないかと思った。

 もう一人、フランスの偉大な芸術家が精神のバランスをくずして精神病院に入れられ、死ぬまでそこにいた。彫刻家のカミーユ・クローデル。彼女の場合は、裕福な家の出で彼女自身も聡明であった。ロダンとの関係に破れてしまったために、精神に異常をきたした。そして家族に施設に入れられた。

 女性が芸術で身をたてていくのがまれだった時代、家族もなく貧しかったセラフィーヌの方が、恵まれていたはずのクローデルよりも、「しがらみ」がなくて自由だったように思える。夜遅く、ろうそくの灯をともしながら、目を少女のように輝かせて絵を描くセラフィーヌ。疲れたらベットにごろんとなって寝て。ベッドにどかっと寝ているヨランダの演技が本当に「至福の時」を思わせた。

 フランスでは映画の公開とともに、セラフィーヌの回顧展も行われ大盛況だったようだ。いつか、本物の絵を見たい。

 ノート:マルタン・プロヴォスト、出演:ウルリッヒ・トゥクール 桜坂劇場で。





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Posted by ダイアン・M at 23:29Comments(0)感想

2010年10月30日

パパの無償の愛、「ボローニャの夕暮れ」





 久しぶりに、映画館で映画を見た。昨日まで(10月29日)上映のイタリア映画、「ボローニャの夕暮れ」。
 映画のチラシにこう書かれている。「生きていくって、寄り道ばかり」。ずどーんと胸に来るコピーだ。
 
 物語は、第二次世界大戦を挟み50年代初期まで、タイトルにもあるボローニャが舞台だ。ある3人家族のお話。
 不器用な娘、そしてその娘をとても愛する父親。娘は同級生殺害の容疑がかけられ、更生施設に入れられるのだが、父はどんなことがあっても、どんなことを言われようとも、娘を信じそして彼女の味方だ。自分が父親っ子だったので、こういうお話はぐっとくる。画面を見て、何回か涙が頬をつたった。
 戦火が激しくなり、鉄道が爆破されたら娘のいる更生施設に行けなくなるからと、その近くに引っ越す父親。母親は、娘に対して距離を置いていた。娘は美しい母に対し羨望と劣等感を持っていた。

 母親は夫と別れ、隣人で夫の友人と生活を共にするようになるが(この人は戦後銃殺される)、戦争が終わってしばらくして、夫、娘と偶然に再会、そして、また3人は一緒に暮らすことになる。時間が、それぞれの抱えていた思いを解決したのだろうか。

 家族だからといって、みんながわかりあえるわけではない。たまたま同じ家族のメンバーになってしまったのかもしれない。しかし、その縁は尊いものだ。

 ノート、監督:プーピ・アヴァーティ、出演、シルヴィオ・オルランド、フランチェスカ・ネリ、アルバ・ロルヴァケル
 桜坂劇場で。

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Posted by ダイアン・M at 02:00Comments(0)感想

2010年09月08日

パリの日常・・・「アメリ」

 あー、いけない、いけない、2カ月以上も、私の「レット・バトラー」様をほったらかしにしてしまった。最後は6月21日ですよ。ほんとに映画ファンとして情けない。実はこの間、映画館に行ってなかったんです。行きっぱなしの時期もあれば、足が遠のいてしまう時も。
 しかし、DVDは見ていました。今回、TSUTAYAのプロモーションで借りた3本を見た順に紹介します。

 「ベルリン陥落1945」
 第二次世界大戦末期のドイツの首都ベルリンが舞台。ドイツ側は敗北が濃厚で、そこに赤軍(ソビエト軍)がせめてくる。街に残っているのは、女性、年配者ばかり。赤軍は職業軍人ではなく志願してきた兵隊たち。ここまで書くとこの街で何が起きていたが想像できよう。主人公の女性は、無知な兵士に乱暴されるよりも、高官の愛人になった方が自分、そして他の女性をも守れると考える。女性はこの恥辱の、悲惨な日々を書きしるしていた。
 1950年代後半に「ある女性の日記」として匿名でドイツで出版された原作は、国内で非常に批判を浴びたという。2000年代の初頭に、この女性が亡くなってまた著書が再販された。

 いつもいわれているように、戦争で犠牲になるのは市民で、女性、年配者と弱い者が悲惨な目にあう。実際のベルリン陥落では、多くの女性が赤軍に犯され、そして自ら命を絶った人もいたという。
 監督:マックス・フュベルベック、出演、ニーナ・ホス、アウグスト・ディール、ロルフ・カーニス


 「ドレスデン運命の日」 
 4年前に中部ヨーロッパを列車で旅した。チェコから入って、しばらく行くと、車窓に中世の街並み(欧州はだいたいそうなのだが)が広がり、そして、あちこち塔があるのが目立った。私は持っていたガイドブックをすぐ読み返した。「ドレスデン、千塔の街と言われたが、1945年2月13、14日の英米軍の大空爆で街の85%が破壊された。今なお復興中」とあった。それからドレスデンという街は、私の行きたい街のリストに入っている。

 このDVDの「運命の日」というのはその大空襲の日前後の若い男女のラブストーリーを織り込んだ、街の運命を描いている。ドイツでは、テレビ映画として放映されたそうだ。ドレスデンの大空襲は、当時の資料をもとに忠実に描かれている。
 ドイツではこれまでドレスデンの大空襲をテーマにした映画などはなく、この番組を見て初めて事実を知った人も多かったという。
 監督:ローランド・ズゾ・リヒター、出演:フェリシタス・ヴォール、ジョン・ライト

 「ベルリン陥落」「ドレスデン」はどれもドイツが舞台だ。この2本はどちらかというと、被害にあったドイツの人々をえがいている。これまで第二次世界大戦でドイツを描いた映画では、大虐殺にあったユダヤ人をテーマとした作品が圧倒的だった。しかし、戦争には被害者・加害者と言葉を使うのは難しく、その時代に生きた人々は、みな人生を一変させられたのである。
ほんうとに、戦争はむごく罪である。


 さて、次は2002年にフランスで大ヒットした「アメリ」。
 私は、今いち、触手が動かなくて見ていなかったのです。
 楽しかった。イギリス皇太子妃だったダイアナが自己で死んだところから始まるアメリの物語。心やさしく、純粋なアメリの恋が成就するまでの過程が楽しい。パリの人々、生活でのディテール、そして街。私はこの舞台となったモンマルトルと真反対の13区に住んでいたのだが、モンマルトルのある18区にも時々遊びに行った。サクレ・クールなどの名所も時々出てきて、楽しいパリ案内にもなっている。
 映画の中で、アメリがテレビの中で自分の一生を見ているシーンがあったが、そのナレーターがフレデリック・ミッテランというミッテラン大統領のおいっこ。映画公開当時、彼のナレーションで欧州の王家、支配者を回顧する番組があったのだが、あれはそれのパロディだろう。笑った、笑った。この映画自体のナレーションは、フランスの名優アンドレ・デュソリエ。日本ではあまり知られていないが、国内ではコンスタントにヒットした映画に出ている。

 アメリは、ナルシスト・フランス人にしては、驚くほどの内気。しかし、マチュー・カソヴィック演じるニノと気持ちが通じ合ってすぐにベッドにというのはさすがにフランス人、いや、普通かな。

 監督:ジャン・ピエール・ジュネ 出演:オドレイ・トトゥ、ジャメル・ドゥブーズ、ヨランド・モロー

 




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Posted by ダイアン・M at 14:12Comments(0)DVD劇場

2010年06月21日

ユアンはジダンに似ている





 桜坂劇場で「ウッディ・アレンの夢と犯罪」を見てきた(6月18日)。ニューヨーカーのウッディだが、ここ最近は舞台をヨーロッパに移しているらしい。この作品は、「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」に続くロンドン3部作の最終章。いつも彼の作品には、若く美しいミューズがいるのだが(前2作は、スカーレット・ヨンハンソン)、今回は、イギリスの若手、いやもう中堅だな、ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが、ほんの一瞬、「豊かさ」に目がくらんだだけで、取り返しのつかないことになっていく兄弟を演じている。

 彼らは普通の世界のどこの街にもいる仲のよい兄弟だ。兄ちゃんは親の経営するレストランの手伝いでは飽き足らず、ホテル投資をして金持ちになりたいと夢見ている。弟は自動車修理工だが、賭けごとが好きで、大きくもうけたり、損をしたり、しかし、そろそろそういう生活をやめて落ち着きたいと考えている。彼らの両親は、これまたどこにでもいる親だ。とにかく子供たちは、平穏に暮らしてもらいたい。大きなことに挑戦するよりも、今の生活を守っていければ幸せだ、そう信じている親たちだ。

 この兄弟のあこがれが、海外で仕事をする叔父さん。このあこがれの人に、ある人間を消してもらいたい(殺人)と頼まれたことから、2人の苦悩が始まる。

 原題は2人が手に入れたヨット「Cassandra’s Dream(カサンドラの夢)」。ヨットを漕いで海に出る2人。地中海ではないが、その青さ、そして、犯罪がからむところは、「太陽がいっぱい」を思わせる。

 バクチ好きであっけらかんとしているかと思った弟が、心の病気になる寸前。現実的な兄は、叔父を組んで、弟の「処理」を考える。
 人間が、究極の立場に立たされたときは、たとえ血がつながっていようとも、どういう風になるのか。最後、一瞬、望みが見えたが・・・。

 兄を演じるユアンは、W杯開幕中だからじゃないけど、フランスのフットボーラー、ダンに似ていると思った。

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Posted by ダイアン・M at 10:01Comments(0)感想

2010年06月18日

アリス・イン・3D





 ティム・バートン監督の3D「アリス・イン・ワンダーランド」を見てきた(17日)。
 3Dメガネのおかげで、ちょうちょや、アリスが迷い込んだ森の動物たちが、目の前まで来る。楽しいなあ。吹き替え版なので、どうしようかと思ったが、違和感なかった。
 
 「不思議の国のアリス」は、小さいときに、ディズニー本としてもらった覚えがある。子供用だったので、ずいぶんとはしょって、子供にわかりやすく書かれていた。原作の翻訳版を読んでみたいな。

 私は、パジャマが大好きで、ピンクにアリスの絵が描かれたパジャマを長く着ていた。あ、これ、大人になってからだよ。フランスにも持っていったんだよな。夜、ルームメートたちと、寝る前にあったかいのを飲みながらおしゃべりしていたら、アメリカ人のJが、パジャマの絵を見て「これ、不思議の国のアリスじゃない1?」と大きな声で言ったのを思い出した。彼女もアリスが好きだったのかなあ。

 ジョニー・デップが登場したお茶会の場面。アリスが小さくなってかくまわれたティーポットは、あれはロイヤルコペンハーゲンだったと思うけど。

 「眺めのいい部屋」(1986年、英国映画、ジェイムズ・アイヴォリー監督)のちょっとわがままなお嬢様だったヘレン・ボナム・カーター。どうしちゃったんだよう。ひいおじい様はえげれすの総理大臣も務めた人ですよ。すごい役をやるようになったね。アン・ハザウェイは、目が大きすぎてちょっと怖かった。
太った双子がかわいかった。

 もう一回、今度はちゃんとした「アリス」を読んでみたいが、夢見がちのアリスは、ありきたりの「女の人生」に疑問を感じ、自分で道を開いていきたかったのだ。こういう時代に、そういう女性を後押しする男性がいるのは素敵。もしかしたら義理の父親になるはずだった人が良き理解者になり、アリスは、亡き父の夢をかなえるべく、それは彼女の希望でもあるのだが、船に乗って未知なる場所へ行く。

 出演:ミア・ワシコウスカ

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Posted by ダイアン・M at 16:39Comments(0)感想

2010年06月12日

W杯開幕! 「マラドーナ」を見た





 初めてアフリカ大陸でサッカーのW杯が開幕した日、桜坂劇場で「マラドーナ」を見た。アルゼンチンが生んだ不世出のフットボーラー、ディエゴ・マラドーナのことだ。彼は、すでに神話化されているが、1960年生まれで、私とほぼ同世代なのだ。今回のW杯、アルゼンチンを率いる。監督は、旧ユーゴスラビア出身のエミール・クストリッツア。
 インタビュー、過去のゴールシーン、群衆に囲まれたマラドーナが大きなスクリーンに登場する。
 後半の監督自身のマラドーナへのインタビューは興味深い。
 ブラジル人でFIF前会長のアヴェランジェ氏への怨念、何度も生死をさまいながらもやめられなかった薬、そして家族。娘たちに「一緒にかけがえのないとき(小さいとき)を過ごすことができずに、ほんとに残念」と、その感情はきわめて普通の人ではあるが、しかし、天災、VIP,大スターだ。

 彼の86年のメキシコ大会での伝説的な5人抜きゴール(もう一つは神の手)が、セックス・ピストルズの歌に乗り繰り返し画面に登場。そして、いつも最後は、鉄の女サッチャー、エリザベス女王、チャールズ皇太子、レーバン、ブレア、ブッシュ息子と彼にとってにっくき米英の支配者たちが出てくる。

 サッカーはアメリカンフットボールと違い、審判が「ルールブック」である。アメフトはゴールがあやふやだったらビデオ判定があるが、サッカーは審判の「目」こそがすべてだ。よく言われるのが「審判のミスに泣き、あるときは審判のミスで笑う」。

 サッカーファンになりたてのころ読んだ、サッカージャーナリストの後藤健生さんの「サッカーの世紀」(文芸春秋刊)に「サッカーが欧州や南米でさかえたのは、階級社会が残っており、不正や理不尽なことがまかり通っているからだ」とあった。つまり、黒、白、はっきりできないものもあり、それには目をつぶることもある、ということだろうか。世の中には、「正しい」ことがすべてではないこともあるのだ。
 そういうことを嫌った人たちが、メイ・フラワー号に乗り、新大陸へ向かった。ピューリタリズムあふれる彼らは、不正を許さず、どんなことも公平に。スポーツのあやふやな判定でも、きっちりと、なのだ(「サッカーの世紀」からの受け売りです)。

 マラドーナは、ここに書くまでもないが、94年にピューリタンの国で開かれたアメリカW杯で、大会半ばにドーピング違反で追放、引退に追い込まれる。
 映画の中でのインタビューで「薬をしていなかったら、もっと(現役を)続けられた」と語っている。もし、薬物をやっていなかったら、98年のフランス大会で日本と対戦し、中田英寿とピッチでの共演も見ることができたかも、しれないのだ。想像するだけで楽しい。

 マラドーナの英国嫌いは、82年のフォークランド紛争にあるようだ。国の英雄である彼は、母国を愛してやまない。

 さて、W杯、スペイン、ブラジルが下馬評が高そうだ。欧州大陸でのW杯は欧州の国が優勝、それ以外の地で開かれたときは欧州以外の国が優勝(今のところ全部南米)というのが通説である。
 そのデンでいけば、アフリカでのW杯は、欧州以外の国か! 自身の活躍で頂点にたった86年以来、アルゼンチンは優勝から遠ざかっている。その間に、宿敵ブラジルは2回カップを手にした。
 今回は、メッシというスターがいる。マラドーナ、監督としてもサッカーの祭典でトップに立つことができるだろうか。

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Posted by ダイアン・M at 11:17Comments(2)感想

2010年05月08日

「カティンの森」を見て

 アンジェイ・ワイダ監督の「カティンの森」を見てきた。
 第二次世界大戦中にポーランドの将校らがソ連軍により銃殺された事件をもとにした映画である。
 この事件の70周年追悼式典に出席するため、当地に赴いたポーランド大統領らの乗った飛行機が墜落し、乗客全員が死亡した事故が4月10日あったばかりだ。

 戦争は本当に人生を狂わせる。そして、普通の生活がどんなにありがたいものなのかを改めて思い知る。幸いにも、本島に幸いにも戦争をいうものを体験せずに生きてきた。戦争に直結する基地のある島で生活しているが、こんな愚かなものにつながるのがどうして必要なのかと考える。
 映画を見た日(5月4日)は、偶然にも鳩山首相が来県し、自分の「公約(米軍普天間飛行場は県外に移す)」を撤回すべく、「やはり県内に負担を」と関係者にお願いしていた。私と妹は、首相が宜野湾、辺野古、名護への「お詫び行脚」をしている間、戦争の愚かさを訴える映画を見て、「平和」こそ尊いものであると確信したのだ。

 「カティンの森」事件は、長く、ポーランドの人々が沈黙を強いられてきた事件だ。戦後の共産圏のリーダー、ソ連軍が起こした事件を、ポーランド(あるいはソ連が)は「カティンの森」はドイツ軍のしわさとしてきた。この事件の真相を話す人は抹殺、あるいはなんらかの社会的制裁を受けた。人間は誰しも自分がかわいい。自分を守るために口を閉ざしたり、話をねつ造したりする人もいた。誰が悪いとかいいとかではなく、「国家」という組織の前に、「個人」である人間は虫けら同然に小さなものである、というのを痛感した。東西の壁が取り払われて、20年たったが、かつての東の国は、求めていた自由が得られただろうか。
 
 日本は(表面上)長く平和を享受している。しかし、今度の「普天間移設問題」を見ていると、「政府」という組織は、「移設」を願う沖縄県民をほんの小さな生き物のようにしか扱っていない。こういうところには人間が謳歌できるはずのほんとうの「自由」というのは生まれないのだ。



ノート 出演:マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ、桜坂劇場で。

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Posted by ダイアン・M at 21:24Comments(0)感想

2010年04月29日

 ニューヨーク、楽しそう





 たくさんのスターが出演した「ニューヨーク、アイラブユー」を見てきた。ニューヨークの街は、「監督」によってさまざまな表情を見せるが、この映画は11人の監督がそれぞれのニューヨークを演出している。

 のっけからすっかり金持ちオヤジの貫録のアンディ・ガルシア。目が相変わらずぎらぎらしていて、彼を前にしたら、すりの若いアンちゃんでさえびびってしまう。

 優等生のイメージの強いイーサン・ホーク、作家(志望?)の役だったが、彼も中年になっちゃったなあ。確か1970年生まれだったと思う。今年40歳か。ようこそ「フォーティーズへ」だな。インテロだけどちょいワルっぽくしたいという役がうまい。これを軽くしたのが、ヒュー・ウラントかな。あと、ナタリー・ポートマンもすっかり大人の女性になっていた。

 個人的に好きなエピソードは、オーランド・ブルームとクリスティーナ・リッチのドストエスキーがらみのところ。会話がしゃれていて、「恋」の始まりを期待させる。あー、私はいつまでたっても夢見るオバサン。

 クロリス・リーチマン(「ラスト・ショー」)、ジェームズ・カーン、ジュリー・クリスティ、ジョン・ハート、1915年生まれのイーライ・ウォラックらベテラン、クリス・クーパー、ロビン・ライト・ペン(ショーン・ペンの奥方)の中堅、今、けっこうイケイケのブラッドリー・クーパーも出ていて、スターを見るだけでも面白い。

 監督は日本からも岩井俊二、フランスからイヴァン・アタル(シャルロット・ゲンズブールのだんなです)が参加している。
4月27日に桜坂劇場で見ました。

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Posted by ダイアン・M at 20:57Comments(0)感想

2010年04月11日

アメリカ人のシャーロック





 マドンナの元ダンナ、ガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」。ホームズの役はアメリカのロバート・ダウニーJr。ワトソン君がジェード・ロウという豪華コンビだ。

 私は、以前NHKで放映されていたシャーロック・ホームズのDVDを持っているが、あれに比べると、画面が忙しい。
 ホームズ・ワトソンコンビが科学の力を使って、「神秘」的事件と対決する。

 ダウニーJrも40代を迎え、かれのそれまでの波乱万丈の人生経験も加わって、何か悟ったような表情がいい。美男が年をとってもステキだとは限らないが、ジェーロ・ロウは美に渋みを加え、ますますいい男になっていきそう。

 19世紀末のロンドンは世界の中心地。画面全体はグレーだが(これがロンドンっぽい)、産業革命で発展した都の活気が伝わってくる。

 ノート 出演;レイチェル・マクアダムス、マーク・ストロング
3月15日、桜坂劇場

 
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Posted by ダイアン・M at 11:12Comments(2)感想

2010年04月11日

 誰がため

 




 1940年代前半の欧州の若者たちのことを考える。戦争に行って闘った者、「ナチス」という巨大な悪と闘った者。本当に多くの知的な「ナチス」に異を唱え、まっとうな社会を望んだ若者たちが殺されていった。
 2006年の秋に列車でベルリンからドレスデンを通ってケルンへのルートを旅したとき、車窓に広がる森を見ながらここに逃げた人たちも多くいたのだろうかと考えた。

 さて、北欧、デンマークが舞台の「誰がため」。北の都にもナチスは襲ってきた。
 フラメンとシトロン(コードネーム)という2人の若者が、ゲシュタボとナチに寝返った人たちを自分たちの信念に従い任務(暗殺)をこなしていくが、次第にそれに疑問を持つようになる。これは実話である。同じような任務を帯びたフラメンの恋人が絡み(裏切り)、フラメン、シトロンは最後は殺される。映画の最後で実在した人物たちのその後が紹介されていたが、フラメンの恋
人・ケティは90歳台まで生きたらしい。やはり人間は自分が一番かわいい。

 ノート:監督 オーレ・クリスチャン・マセン 出演 トゥーレ・リントハート、マッツ・ミケルセン、クリスチャン・ベルケル
3月15日、桜坂劇場

     

Posted by ダイアン・M at 00:14Comments(0)感想

2010年03月05日

ジェーーン・オースティン秘められた恋





 2月13日に見た映画の感想です。
 アン・ハサウェイとジェームズ・マカヴォイが主役。ジェーン・オースティンとトム・ルフロイという才能あふれるもの同士の恋愛。
どきどきして、「ここでふんばんれ」とか「えー、結局男ってこうなんだよなー」などと思い、でもやっぱり一緒にいたかったんだね、真実味のある奴だったんだね、心の中で一人ごとを言いながら見ていた。マガヴォイ演じるトムに結局、男は打算的と思ったけど、ハサウェイ演じるジェーンとの未来に進んでいくことになる・・・心の中で拍手した。
 
 しかし、物語はそう簡単ではなかった。結局、女がどうなるかわからない未来をあきらめる。二人は才能あるもの同士。お互い刺激し合い、尊敬しあってそれぞれを高めていこうと描いていた。だけど、男には背負うものがたくさんあった。家族・・・。ジェーンは言う。「お互い、生活につぶされてしまう」。聡明なゆえに冷静、というか、駆け落ちまでして、もうすぐ成就できる恋愛だったのに、最後の最後にジェーンは悟ってしまう。貧しい牧師の娘とはいえ、教養もある「お嬢様」のジェーンには好きな人といつでも一緒ということよりも、重くのしかかる現実に耐えられなかったのだろう。哀しいね。

 ジェーンがトムと駆け落ちをする朝、婚約者を亡くし悲しみにくれている姉が、自分の切なものを渡し妹の恋を応援する。これに泣けた。駆け落ちをあきらめて家に帰ってきたとき、家族はジェーンを探して外に出て、誰もいなかった。もどってきた母親がジェーンを抱きしめる。文章を書いてもお金にならないわよ、それより結婚をといつも口うるさく言っていた母親。娘を見て「あなたの帰るところはここなのよ」と優しく言う。これにも泣いたなあ。

 ジェーンの縁談の相手である男性、名前忘れたけど、彼もなかなか興味深い人だった。
 父親役のジェームズ・クロムウェルが豚にえさをあげながらジェーンと話すシーンがあるが、これ、映画好きなら笑っちゃったでしょ。クロムウェルは豚を主人公にした「ベイブ」に出ていた人です。

 ハサウェイも魅力的だが、マカヴォイはいいねえ。えげれす若手男優陣では、ルックスも演技力も一番ではないかしら。「ペネロップ」で魅せられて以来、ずっと彼の演技は楽しみ。ますます期待します。

 ノート、監督:ジュリアン・ジャロルド、出演:ジュリー・ウォルターズ、マギー・スミス 桜坂劇場

   

Posted by ダイアン・M at 01:13Comments(0)感想

2010年02月05日

釣りバカ日誌、20 ファイナル





 寅さん終了後の、「国民的」映画と言われた「釣りバカ日誌」を見てきた。20話で、これで最後だそうです。
 テレビで放送されたときに、ちらちらと見て大笑いしていたけど、劇場では初めて。最後なので、大型スクリーンでこれを見る機会がもうない、それで見に行ったのです。

 西田は名優だ。アドリブなのか、それとも演技か、とにかく、今さらながらうまくて面白い。三國連太郎なんて、もう80代後半のいい好々爺(を越えているかな)。若いころあり余っていたであろう油もすっかりぬけたという感じの話かたがまたいい。

 浅田美代子も、ふだんの天然はどこへやら、かわいくしっかりものの奥さんだ。松坂慶子は、私たちの世代には、ハイレブぐりぐりに「愛の水中花」なんて歌っていたが、今の若い人はわからないだろう。美しいが、あの肥え方ではやせることはないかもしれない。

 ラスト、スーさんが「会長退任」のあいさつをして、終了。映画も終了。出演者らが「ごくろうさまー」とお互いをたたえあい、順に舞台に出てあいさつ。クレジットが流れそこに「谷啓」。「え、出てたっけ」と思ったら、ゆっくり歩いて舞台に登場していた。病気のようだ。
 見終わったの感想は、DVDを借りてもよかったかな、です。

 ノート 監督 朝原雄三、出演、奈良岡朋子、笹野高史、加藤武、中本賢
 1月31日、シネマ・パレット  

Posted by ダイアン・M at 17:58Comments(0)感想

2010年02月05日

海角七号 君想う、国境の南





 台湾映画「海角七号」を見てきた。台湾で歴史的大ヒットをした作品だ。

 初めの20、30分は、この物語のつかみどころ、というか、どこへ話が進むのか、わからなかった。
終戦後、台湾から日本へ帰る船の上から書かれたラブレターが、映画のキーポイントとなって、話は進む。台北で歌手になるという夢が破れた青年、日本人のエージェントの女性、舞台となる町の町おこしに余念がない町議会議長(まるで小沢一郎)などが一つになり、最後は素敵なハーモニーを奏でる。

 台北の(そこしかしらないが)、喧騒と違い、地方のゆったりとした時間が、気持ちいい。
 でも、なぜ大ヒットしたのだろうか。「日本人」が出てくることで、その日本人がラブレターの相手を結局は「捨てた」ことに、台湾の人の心が動いたのだろうか。全体的に、脚本、演出も初々しいという印象の映画だった。

ノート、監督、ウェイ・ダーション、出演、ファン・イーチェン、田中千絵、中孝介、シノ・リン、レイチェル・リャン
1月31日 桜坂劇場  

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2009年12月29日

イングロリアス バスターズ





 寿命が縮まったかもしれない。それほど、この映画は、ドキドキしっぱなしであった。
 「イングロリアス バスターズ」。タランティーノ、観客をいったいどこへ連れていくんだ。
 ナチス占領下のフランスでの、ユダヤ人女性ショショナを軸に、ナチスと、連合国、アメリカからのナチス退治隊「イングロリアス バスターズ」のかけひき、闘いがまばたきするすきもあたえずに、客をとらえる。

 バスターズのオヤビンが、われらがブラッピ。レッドフォード2世といわれたのも今は昔。もっとも本家本元もおそらく何回も整形しちゃったんじゃないかと思われるほどくずれてきているが(年も年だし)、ブラッピもおじさんになっています。私はブラッピの映画はあまり見ていなくて、見るたんびにおバカキャラなので、ブラッピのイメージは3枚目だ。

 ショシュナ役のフランス人俳優、メラニー・ロラン。美人でとても品がある。若き日のバネッサ・レッドグレーブを思わせ、一瞬彼女の娘、ジョエリー・リチャードソンかと思った。

 そして、この映画、クリストフ・ヴぁルツで決まり。いい顔して、人あたりの良い人物が、実は、非常に危険だと教えてくれる。見事なナチス幹部の役。オスカー助演賞ものじゃないかと思っていたら、今年のカンヌで男優賞をもらったそうです。ゴールデングローブの助演男優にもノミネートされています。楽しみだね。

 最後には、ヒトラーも映画館で死ぬというそうかいなラストが待っているが、ハラハラ、ドキドキもののエンターテイメントだ。

12月23日、メインプレイスで。  

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2009年12月29日

ゼロの焦点





 松本清張生誕100年映画「ゼロの焦点」を見てきた。おもしろかった。昭和30年代の日本が表れ、レトロチックな画面に見入ってしまった。

 北陸の暗く、荒れた海がこの物語をあらわしている。そのバックに流れる音楽もよかった。映画を見たあと、原作を読んだが映画が断然おもしろかった(原作ももちろんいい)。脚本がいいのだろう。

 主人公の広末涼子。私はこの人が出てきて国民的アイドルになったときのことを知らないのだが、80年生まれというから来年30歳。結婚して、すぐに夫が蒸発してしまった妻の不安、悔しさ、悲しさをよく演じていたと思う。持ってうまれた品のよさが良家の娘、妻という感じだ。

 地方の名士夫人を演じた中谷美紀も迫力があった。彼女の赤いコートを着てサングラスのかっこうが、時々鏡に映ったが、ヒッチコックの「サイコ」、ブライアン・デ・パルマの「殺しのドレス」を思い出させた。

 日本が米占領下におかれた時期、米兵相手に買春をしていた女性がそれをかくそうとすることから起こった事件。清張は、冷静にそのときのことを書いている。

 ノート:監督、犬童一心、出演、木村多江、西島秀俊、杉本哲太、鹿賀丈史、市毛良枝、本田博太郎、黒田福美
12月22日、メインプレイス  

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2009年12月19日

ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式





 笑って、笑って、最後はほろっと。とありがちなパターンですが、しかし、そこは大英帝国、ひとすじなわではいかない。
 「ハウエルズ家のちょっとおかしなお葬式」という邦題だが、ちょっとどころか、すんごくおかしかった。イギリスでは少しおかしい、という程度なのだろうか。

 予告編の最初、これが映画の最初のシーンなのだが、ここからして、やらかしてくれた。
 棺がハウエルズ家に運ばれてきて、おごそかななかに、息子がその中を確認すると、「この人誰?」。
 ハウエルズ家の父親のお葬式のてんやわんやを描いているのだが、イギリスっぽい、ちょっと汚い笑いもあり、あれには少し私はついていけないが、おかしな映画で好きだ。芸達者な役者たちが、まじめな顔して笑わせてくた。

 母親役のジェーン・アッシャーという美人な女優は、昔、若いころのポール・マッカトニーの恋人だったらしい。この映画で得た知識はこれかな。



 ノート、監督:フランク・オズ、出演、マシュー・マクファディン、ルバート・グレイブス(懐かしい)、キーリー・ホーズ、
 12月16日、リウボウホール


   

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2009年12月16日

「幻影シネマ館」、見事というほかない。





 図書館で借りてきた本。佐々木譲著の「幻影シネマ館」だ。幻の映画、日本では見られない(見られていない)映画、つまり未公開作品についてのコラムである。ちょっとワクワクしながら読んだんだけど・・・なあ。

 たとえば「青春群像映画の系譜」というところでは、今や大御所となったスターたちが、若い売り出し中のころに出ていた映画。本の中ではケビン・コスナー主演の「サマー・デイズ」が紹介されている。タイトルはいかにも、でしょ。海のものとも山のものともしらない若手を大量に集め、気がつけば、10年後にはみんな大スターになっていたという映画は、何本かあるが、だいたいが低予算で作られ、ヒットなんか期待されていないので、今見ればお宝ものの映像である。

 さて、この「サマー・デイズ」。まず出演者から。ミッキー・ローク、デニス・クエイド、ミシェル・ファイファー、ウィリアム・ハート、あれっく・ボールドウィン、マーク・ハーモン、アンディ・マクダウェルである。そうそうたるメンバーである。一同に彼らの若いころが見られるなんてもう、サイコーである。ウィリアムとアレック、共演していたのね。ウィリアムのファンである私は見てない映画でも、チェックはしていたつもりなのに、この映画は見落としたか・・・。

 ま、そんな具合に、この本は、著者が外国で見た日本未公開作品について、出演者たちも紹介している。この映画以外にも読みながら、何本か興味を持ち、もうDVDになるかもしれない、探してみよう!と思った。

 で、あとがきである。私は「純粋」で人を疑うということを知らない。著者はこう書いてあった。
 「すでに本文を読んでしまった読者は、おわかりのとおり、これは存在しない映画の紹介と批評なのだ」。
 佐々木氏の映画ファンだましである。小説家はうそつきの始まり、といいますね。映画、俳優につして知っていなければ書けない本だ。見事。もっと映画を勉強したいと思った。  

Posted by ダイアン・M at 11:43Comments(0)映画関係書籍

2009年12月11日

アンを探して「文学少女たちの夢」





 先ごろ、シンガポール映画祭で最優秀作品賞と監督賞をとった県出身の宮平貴子さん監督の「アンを探して」を見てきた。桜坂劇場で公開されていたのだが、行ってみてびっくり。すごい列で整理券が必要だった。県出身の監督、そして名作「赤毛のアン」、で映画賞受賞が拍車をかけたのだろうか、とにかく大勢の人だった。

 吉行和子演じる祖母の少女のころの夢をかなえるべく、孫娘の(石橋貴明の娘穂のかが演じる)アンリは、「赤毛のアン」の舞台となったカナダはプリンス・エドワード島へ行く。そこで出会った人びととの交流を描き、最後はばあちゃんの夢もかなうというお話だ。脚本がしっかりしていい作品だと思った。

 祖母が初恋の人へしたためた手紙をお別れパーティで読むアンリ。人間への愛と世界の平和を祈ったその手紙はとてもよかった。

 出演の穂のかは少しうじうじ気味もあったが、だんだんとのびのびとした少女になっていった。民宿の主人を演じたロザンナがよかった。愛する人が亡くなったときの悲しみを告白するときに涙を流していたが、ヒデのことを思いながら語っていたのだろうかと思った。もう一人、ロザンナ経営の民宿に泊まりにきた姉妹がいたが、そのチャラチャラした妹役の高部あいも印象に残った。最近の軽~い娘を演じていたが、セリフもしっかりしていて、それが、このチャラ娘を実は、しんのしっかりした子という印象にしている。

 ところで、観客の90%は以前の文学少女たちだった。「赤毛のアン」「若草物語」と、西洋の自分の目標に向かって明るく生き、道を開いていった少女たちを主人公にした物語が、戦後の日本の少女たちにどれだけのあこがれと励みを与えたか。私は、どっちが好きだっただろう。思い出した、このアンやオルコットが送りだしたの4人の姉妹たちよりも、もっと激しいスカーレット・オハラ(「風とともに去りぬ」)に取りつかれていた。少女のころ(ティーネイジャー)のころのあこがれというものは、いくつになっても大切な思い出だ。

   

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2009年12月08日

リミッツ・オブ・コントロール



 6日の日曜日は、昼間に「湖のほとりで」を見て、夜はジム・ジャームッシュの「リミッツ・オブ・コントロール」を見た。いずれも桜坂劇場。
 「映像の詩人」ジャームッシュの描くスペインの町はどこかかさついている。「自分が偉大だと思う男」をおとすために、スペインの南へ南へと下っていく主人公の男。列車の車窓から見るスペインの大地は木が少なく土がむきだしだ。

 いつも2つ注文するエスプレッソと、交換したマッチ箱に入っている(おそらく)住所や列車の指定席を書いた紙。それを飲み込む主人公。到着した町でかわるスーツとシャツの色。セリフが少なくても、ジャームッシュの映画は退屈しない。

 出演者も多彩。ユウキ・クドー頑張ってるじゃないか。最後のビル・マーレイには笑った。彼が「自分が偉大だと」思っていた男なんだけど。コードネームが「アメリカ人」。やはり、アメリカ人は自分が一番エライと思ってるんだよ。

   

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